今回お話を伺ったのは、道南厚沢部(あっさぶ)町の渋田産業。
きのこ生産だけではなく、農水産資材の販売なども手掛け
その強みを生かして多角経営で歴史を繋ぐアグレッシブな会社でした。
多角経営・強みを生かした新事業としてきのこ製造へ
渋田産業の始まりは昭和45 年。設立当初は漁網製造の会社だったそうです。
底引き網規制が始まって漁網の売り上げが下がると今度は農業資材の製造提供を手掛ける会社へシフトチェンジ。
同時に水産資材の小売りなども始め売上を伸ばしつつ、昭和60 年頃からはきのこ製造を開始しました。
農産資材の良し悪しを見極めるプロの目と、それを仕入れて販売する立場を生かして安心・安全・美味しいきのこの栽培と研究を欠かさず続けてきました。
今も農産・水産資材販売事業を運営しつつ、きのこの製造生鮮販売と乾燥きのこの製造販売を軸とする渋田産業。
多角経営の強みは複数の事業による収益性の安定化につながること。そして、その中でもきのこ製造・販売事業は親子二代の努力でどんどん軌道に乗っていきます。
ビジネスの専門家などからは「あまり販路を広げすぎると管理が大変。もう少しコンパクトにした方がいい」というアドバイスも受けた事があるとの事。
しかし、渋田さんは「うちのきのこを欲しいと言ってくれる人がいるなら、そこに使ってほしいじゃないですか」と元営業マンのフットワークの軽さを武器に全国各地に営業をかけて販路を広げてきました。


多様な販路をもってしても避けられないコロナショック
しかし、そのように各地に取引先がある渋田産業でさえもコロナショックは大きな打撃となりました。
中にはコロナショックで伸びを見せる業界もあり
宅配やスーパー販売などは巣ごもり需要で引き合いが強くなった分野もあったといいます。
対して飲食店、ホテルや旅館への打撃は大きく、その分野の卸販売はゼロに近くなってしまった上
物産展も大きいものは軒並み中止、大きな催事出店は昨年の9月が最後だとの事。
「先日、久しぶりに札幌の百貨店デパ地下に行って売ってみましたが、明らかに状況が違いました」と渋田さん。
というのもコロナ下でのブース出展には制限がたくさんかかってしまうのです。
対面販売の強み「たくさんのトークで商品を知ってもらう」「試食して美味しさを知ってもらう」ができません。
また、渋田産業のきのこはその味のおいしさと食育にもってこいのコンセプトで
北海道内に限らず道外の学校給食にも採用されているのだそう。
しかし、その学校給食も休校の影響で出荷量は減少。
結果、コロナショックに強い分野で売上が伸びた半面、減益も大きく、やはり前年比を下回る状況が続いているようです。
「現状、直接顔を合わせての営業や出張が全然できていないので、それはつらいですが…」
「時間に余裕ができたからこそ、今のうちに商品開発をしたりして、前向きにいきたいと思います」
「今後、売り方が変わってくると思います、色んな所に力を入れてチャレンジしていきたい」
そのように仰っていました。
弊社SmileMarche での販売も「新しいチャレンジ」のひとつ。
安心・安全・高品質を求めて下さるお客様と出会って頂き
SmileMarche での購入が作り手・買い手・配送業者・その先の子ども食堂につながる
皆が幸せになる価値ある販売方法の一つとして重宝して頂けるよう、弊社もパートナーとして頑張っていきたいと思います。
北海道原料での菌床作成・栽培方法へのこだわり
実は渋田産業さん、とても情報発信に熱心で、専用のYouTube チャンネルもお持ちです。
今回はそこから動画を紹介させてください。
オリジナル舞茸菌床の製造過程を動画にしています。
使用するおがくずは北海道ならでは、白樺のもの。(シラカバという名前はアイヌ語由来なのです)
そこに混ぜ込む小麦も水も北海道産。そして、その製造も自社工場(もちろん厚沢部町)で。
きのこそのものに限らず、それを育てる菌床までが北海道産なのです。
えぞまいたけは、まさにMade in HOKKAIDO のきのこなのですね。
この菌床配合にたどり着くまでは相当な苦労があったようで、
あまりにもうまく育たず先代は「きのこ栽培自体を辞めよう」としたこともあったとの事。
それでもあきらめずに研究と工夫を重ねてこの配合が成功し、品質が安定したのはここ10 年くらいの事だといいます。
一般の多くの舞茸は成長スピードを早めたり大きくしたりすることを期待して海外産コーンコブを菌床に混ぜることが多いといいますが
「海外由来のものを使わずに道産素材にこだわる」えぞまいたけの菌床にそのコーンコブは使われていません。
また、えぞまいたけは広く売られている舞茸に比べて色づきが控えめ。
そして、調べているうち、「えぞまいたけは舞茸独特の煮汁の色づきも少ない」との情報が。
(舞茸が頻繁に献立に入ってくる主婦としてはとても知りたい情報でした!)
これについてその理由をお伺いすると
「色づきが淡いというのは北海道でしか作っていない、寒い地方で作っているえぞまいたけの特徴でもあるので菌種の違いというのが一つと
市販されている舞茸の多くは「舞茸は黒いもの」というイメージの為に、人工照明を当てて黒くしているものが多いんですよね」
という初耳の情報が。光に当たって黒くなる(日焼けする)のって人間だけではないのですね…
「きのこは自然のものなんだから、余計なことはやめよう、ってなって。
うちは深山の中の木漏れ日のような自然光を取り入れてなるべく自然に近い環境で育てています。…という事はかなりばらつきも出るんですけど、最近のお客様はそういう所も含めて理解して買ってくれるようになってきている気がします」
なるべく自然のまま、きのこから美味しさを引き出す。恵みを頂く。
「人の為に都合を合わせるのではなく、きのこの為に都合を合わせる」
先代、渋田さんのお父様から引き継がれる信念です。
きのこの事を第一に考える事が、美味しさにつながる。
この先も渋田産業がきのこを作り続ける限り受け継がれていくポリシーとなりそうです。
きのこの旨味を引き出す食べ方
きのこは様々な料理と相性がいい、これは周知の事実。
でも、きのこのプロ、生産者がオススメする食べ方って何だろう?と思って聞いてみました。
答えは…
「ベタになっちゃいますが、天ぷらが一番おいしいです」

確かに!舞茸の天ぷら、最高に美味しいですよね…。
でも、もっと凝ったメニューが出てくるのかと思っていました。
「オリーブオイルやバターを引いてベーコンとアスパラと一緒に炒めても。塩コショウだけで最高に美味しいです」
これもまたシンプルメニュー。聞いただけで美味しさが想像できます。
「きのこは何でもそうですけど、中までしっかり火を通して初めて旨味が出てくるんですよ。火にかけて最初に水分がでてきたら、その後フタをして軽く蒸し焼きにして頂けると良いです。」
「しっかり火を通さないときのこ独特のえぐみが残ってしまうので、苦手な人は苦手と感じるはずです」

フタをして蒸し焼き…醤油回し掛けしたい…

旨味が米に染みていてついついおかわりしちゃう危険なメニュー。
だから、天ぷらが最高の調理法なのですね…。
また、「中まで火を通す」が重要なので、そのような調理法であればシンプルな味付けで十分美味しいですよ、との事
汁ものや鍋ものはもちろん火がしっかり通りますし(きのこの御出汁、美味しいですよね…)
天重にソテー、ペペロンチーノなんかもオススメです!と渋田さんのおすすめメニューは止まりません。

ペペロンチーノは材料も簡単なのでさっと作れます。

スープは栄養も風味も逃さず食べられる素晴らしい食べ方!
きのこそのものの旨味が最高に美味しいので、しっかり旨味を引き出すことでメニューは無限に広がります。
特に当店で販売中のえぞまいたけはバラタイプ。サイズに合わせて色んな調理方法が試せます。
工場朝採りの新鮮なまいたけをたっぷり1キロから4キロまで選んでご購入いただけます。
これだけあればたくさんのメニューで楽しむことができますよ!!
是非作り手がお勧めする食べ方でお楽しみください!
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