【事業者紹介】カネニ藤田水産(森町)

事業者
事業者

今回は道南の森町で水産加工業を営み、製造商品は函館の市場や全国の物産展でも名を馳せる
「有限会社カネニ藤田水産」さんの特集です。

ファーストコンタクトのお電話をかけた時はまさに原料買い付けの真っ最中!
電話の奥で活気のある声が飛び交う中、インタビューの予約を入れさせて頂く事に。

目利きのプロとして仕入れ・買い付けから加工までオールラウンドに活躍する
勤続25年の営業課長、浅利さんにお話を伺いました。

創業の地、森町尾白内で120年以上

「カネニ」ブランドの始まりは明治30年。
北海道森町尾白内(もりまちおしろない)において定置網漁を行う網元としてのスタートでした。
昭和32年まで網元として操業した後、翌33年に水産加工業を始め今に至ります。

網元としての創業から120年以上経った現在もその尾白内で買い付けから加工までを
そして道南一の大都市、函館を拠点に販売までをグループ会社で一貫して行う
歴史あるブランドとして全国にファンを持つ老舗です。

今回お話を伺った「有限会社カネニ藤田水産」は森町の工場で商品の製造を行い、
函館の市場やネットショップなどでその商品を販売するのが「有限会社函館カネニ」。
実はこの2つの会社、創業家出身の御兄弟がそれぞれの社長となって運営されているのだとか。

兄弟ならでは、息の合った会社同士の連携で商品の加工・開発・販売を手掛け
始まりの場所から変わらず渡島半島の海の幸をお届けしています。

新鮮第一。原料買い付けから加工までのスピードが命。

駒ケ岳を背後に望む内浦湾(噴火湾)に面する森町はとても豊かな海産資源に恵まれ
毛ガニやホタテ、サケ、ボタンエビなど、旬の水産品が次々と水揚げされます。

仲買人としてカネニ藤田が買い付けを行う渡島地方の各漁協の中でも飛び切り近くにあるのが森漁協。

その森漁協から工場までの距離はなんと2.3km
北海道スケールではまぎれもなく「すぐそこ」なのです。

一般に知られている通り、魚介類は鮮度が命。
加工品にするにもできる限り新鮮なうちに加工をしてあげることで美味しさが決まります

それが可能な抜群のロケーションで日々こだわりの商品たちを生み出しています。

工場から車を走らせるとすぐそこに海と漁協。抜群のロケーションです!!

仕入れ・加工・開発 少人数ゆえのチームワーク

これだけの歴史を持ち、函館の市場でも、物産展でも全国的にも名が知れているカネニブランド。
「実店舗もお持ちですし、商品も充実されてますし、会社の規模ってどの位になるんでしょう?」と聞くと

工場は10名、販売や事業所の方は25名くらいですかね…」

とまさかの回答。

普段は浅利さんが原料の買い付けに出ていますが
時期や買い付ける素材によっては浅利さんだけではなく社長も目利きのプロとして仕入れに参加、
より良い原料を探して八雲、砂原など近隣の漁協を走り回ることも度々あるそうです。
小規模な会社だからこそ、社長のこだわりや社員の志がダイレクトに反映される風通しの良さが魅力ですね。

また、私が気になったのが商品数の多さと原料に応じた調整が難しそうだという事。
スマイルマルシェでは複数アイテムのセット販売が主ですが、単品ごとと考えると結構なアイテム数です。

加工総菜はもちろん、干物一つとっても漬けこみ方や塩加減によっては全く味が変わるもの。
また、加工品に使用する原料も、その産地によって全く食感や卵の粒度など、条件が違います。
水産加工業はその素材に応じて味付けの微調整が必要な世界なのです。

「商品の開発チームがあったりするんですか?」という質問には

「特に設けてはいないですね、一日の工場稼働が終わってから皆で検討会などしたりしています

との事。
工場を通常稼働させる仕事は基本として、その後更に開発検討に時間を費やす。
「人がいないので色々兼務でやらなくてはね…」と謙遜する浅利さんでしたが
少ない社員数でこの会社の規模を保つには少数精鋭かつ、一人一人の志が高くなければ不可能でしょう。

変わらぬ人気、超ロングセラー商品たち

会社としてこだわりの商品や、浅利さんの一押し商品はありますか?という質問に対して
2つの商品を挙げて頂きました。

かにまん

名前の通り、かにの身が沢山入ったかにまん。

函館の店舗では蒸したての商品が食べられるようになっていて、私がインターネットで調べるとすぐに各種グルメサイトへの投稿や、ブロガーの記事の中でも度々登場しているのが見受けられました。若い人たちから年配の方まで幅広く愛されている商品です。

皮には北海道産の小麦を使い、繊細なかにの味を大事にして、生地は柔らかく溶けていくような食感に仕上がっているとのこと。
浅利さんが全国の物産展を飛び回っている時も大人気の商品で、販売から15年以上経つ今も変わらず人気の商品だそうです。
(スマイルマルシェでもカニじゃがまんとのセットで販売中です!)

グルメ数の子松前漬け

かにまんの15年ロングセラーでも十分なヒット商品ですが
こちらの数の子松前漬けはなんと浅利さんが入社される前、つまり25年以上前から変わらずヒットを続けている商品だそうです。
もはやカネニ藤田水産の代名詞的存在ですね。

良質な数の子や昆布、するめを使い甘さや塩分にも気を配って味付けをしているとの事。
松前漬は本来保存食として確立された料理で塩辛いものですが
若い方から年配の方まで食べやすいよう、塩味を抑えて旨味を引き出す
作りにこだわっているそうです。

また、松前漬に欠かせない「数の子」。
数の子を始めとした加工用の魚卵は特に世界中で生産されているものの、その特徴は地域や生育条件によって全く違うのです。
中には「国産原料より指定の地域の外国産の方が美味しく加工できるから」とわざわざコストをかけて使用する会社もあるなど「国産だからいい」とは限らない世界です。

カネニ藤田水産では、世界中様々な産地から原料を取り寄せて微調整を繰り返し、最適な味付けの仕方を研究していらっしゃるとの事でした。

もちろん、産地である海の状況も一定ではないし、お客様の好みも時代と共に少しずつ変化していきます。
その変化に後れを取らないよう、ベースの味付けはそのままに、日々研究を繰り返し、商品に反映させています。

合言葉は「商品を売る前に心を売る」

この仕事をされていて嬉しかった事はなんですか?の問いに
「物産展などでお客さんに直接会って色々お話を聞かせて頂けるのはやっぱり嬉しいですね」とのお答えでした。

カネニ藤田水産のグループ会社、函館カネニのホームページには
「商品を売る前に心を売る」を信条として販売している という一文があります。

お客様の立場になっての商品開発と販売、これはカネニグループ全体に共通するこだわりではないでしょうか。

お客様のニーズを丁寧に汲み取り、心のやり取りが感じられる丁寧な商品づくりと流通。
各地の物産展が軒並み中止になったり規模が縮小してしまっている今、
弊社のスマイルマルシェも、その大切で素敵なやり取りに加担させて頂ける事をとても嬉しく思います。

会社・社員一人一人の人柄が商品に顕れる

インタビューの予約を取り付けたその翌日、浅利さんに改めて電話をかけると
とても物腰柔らかく、電話口でその優しいお人柄が伝わってくるような御方でした。

浅利さんはこの会社に勤めて勤続25年ですが、それまでは水産業と全く別のお仕事をされていたそうです。
ただ、それまでも、この会社に入ってからも生まれ育った森町でご生活されているとの事、
とても強い地元愛を感じました。私もちょっと、地元に帰りたくなりました…。

また、全く別のフィールドに飛び込む形で転職したにも関わらず、変わらず長くお勤めされている事
そして買い付けの担当から広報、商品開発まで重要なお仕事を任されている事からも
浅利さんの素敵な人柄とその能力が愛され、また必要とされていることを感じられました。

「ものづくりは、作った人がそのまま顕れる」と思います。
きっとカネニさんの商品が永く支持されるのは
社員皆様の人柄と守り続けてきた信条と美味しい素材、その両方がうまく融合する結果なのだと思いました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました